ミニマムな暮らし 1LDK

今までのこと これからのこと

めがね その六 ( 夫婦 )

 
一からの新生活
 
基本的な道具は
一人暮らしからの
愛用品を持ちこみ
 
必要なものは一つ一つ揃える  
なにより楽しい時期
 
順調に落ち着いた
半年ほど経った頃から
 
今までなかった違和感
 
それは日に日に強くなり
気になってしかたがない
 
何かと言うと
 
『 衣装ケースが気に入らない 』
 
自分でも驚くほど
わがままなこと
 
夫が 私の好みを考え 見つけて
意見を聞いて
お金をだして
組み立ててくれた物を
 
気に入らないと言うのだから
 
よほど感謝が足りないのだと
落ち込み 自分に苛立った
 
それでも 毎日 
衣装ケースを開け閉めする度に
私の気持ちは暗くなり
 
なぜだろうと しばらく悶々と考え
 
やっと気がついたのは
とても簡単な答え
 
私はお金を出してくれる
夫に『 遠慮 』していた
 
 
 “ 安くていいのが見つかった ” と
喜ぶ夫に合わせて
『 物分かりのよい』フリをして
 
『 私が一番好きで欲しい物』を
伝えていなかった
 
( やっぱり 無印のがよかった )
 
私は 夫にも自分にも
『 正直 』でなかったのだと 
 
後日 呆れられる覚悟で打ち明けた
 
夫は 拍子抜けするほどの調子で
「 そうだったの 」と笑い
 
「 次からそうしたらいい 」
と言ってくれて
ほっとして力が抜けた
 
( 衣装ケースくらいで )
 
いや それが問題ではない
 
『 勝手な妥協 』をしたり
『 本当の願い 』を無視したり
 
無意識に諦めるのが
私の悪いクセ
 
これから夫婦として 
様々な選択をし続ける
 
それこそ   
衣装ケースどころではない
 
買い換えがきかない
お金では買えないこと
 
手放したり 失ったり
時にはつらい選択もあるだろう
 
だけど このひとには いつも
素直に本音でさえいたらいい
 
そんなふうに思えて
嬉しかった
 
来年の春で 丸2年
新婚気分はとうに過ぎたけれど
 
新米夫婦のまま
あっと言う間の一年だった
 
来年も大切に過ごしたい
 
夫は仕事も忙しくなるし
私はまだまだ本調子でもない
 
だからこそ
“ 今 ” できることに感謝して
 
もう一息
物や用事を減らしていこう
 
常々 そう話している。
 
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上野駅の福引でもらったアンデルセンのクッキー 
 

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